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「シェーグレン症候群」について

1. 病態と症状

シェーグレン症候群は口腔乾燥症(ドライマウス)や眼乾燥症(ドライアイ)をきたす免疫の病気です。乾燥症状以外に内蔵の病気(肺、肝臓、腎臓、リンパ腫など) をともなうこともあります。男女比は 1:14 と圧倒的に女性に多い病気で、50 歳代に発病のピークがあります。日本の患者数は 10〜20 万人程度と言われており、リウマ チ性疾患のなかでは関節リウマチに次いで患者数の多い病気です。



2. 診断

シェーグレン症候群の診断は、口腔検査、眼科検査、血液検査、病理組織検査の 4 つから総合的に判断されます。

口腔検査は、ガムテスト(ガムを 10 分間噛む)やサクソンテスト(ガーゼを 2 分 間噛む)により、唾液がどのくらい出るか調べます。10 分間ガムを噛んで唾液が 10ml 以下の場合には唾液分泌が減少している可能性があります。また唾液腺 MRI で唾液腺の構を調べることができ、唾液腺シンチグラフィーで唾液の出方を詳しく知ること ができます。眼科検査は、5 分間にろ紙がどのくらい涙で濡れるか調べ(シルマーテ スト)、眼の表面を特殊な色素で染色して眼の表面の荒れ具合を調べます。組織検査では、口唇小唾液腺生検を行います。下唇の内側より小唾液腺を採取し顕微鏡で判定し、50ヶ以上のリンパ球が集まっていれば陽性です。2013 年に世界7カ国(アメリ カ、日本、デンマーク、アルゼンチン、中国、イギリス、インド)が合同で、世界統 一診断基準を作成しました。

1)血液検査で抗 SS-A 抗体などの自己抗体が陽性

2) 角膜染色でドライアイの確定

3)口唇生検でフォーカススコアー1 点以上

の3項 目のうち2項目陽性で確定診断になります。



3. 治療

シェーグレン症候群は、症状に合わせて治療を行います。眼の乾燥症状に対しては涙の分泌を補い、眼の表面を保護する目的で保湿剤(コンドロイチン硫酸ナトリウム、 ヒアルロン酸ナトリウムなど)の入った点眼薬を使用します。また口腔乾燥症状に対 しては、塩酸セビメリン、ピロカルピンなどの唾液分泌促進薬や人工唾液などを使用します。内蔵の病気がある場合は、軽症であれば消炎鎮痛剤や少量の副腎皮質ステロ イド剤を投与しますが、重症の場合には、中等量以上の副腎皮質ステロイド剤や免疫 抑制剤を使用します。


 

北陸リウマチ膠原病支援ネットワーク パンフレット 第3版より引用

執筆協力者(順不同) 加藤真一(上荒屋クリニック)、長谷川稔(福井大学)、梅原久範(長浜病院)、

清水正樹、山田和徳、 鈴木康倫、藤井博、川野充弘(以上金沢大学)

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