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「リウマチ性多発筋痛症」について

1. 病気の概要

リウマチ性多発筋痛症は、リウマチ医として日常頻繁に遭遇する、あちこちの痛みを主訴とする病気です。2015 年に医療給付対象疾患に指定された巨細胞性動脈炎の約 30%の患者さんにリウマチ性多発筋痛症が合併するといわれています。高齢者に”急に起こる筋肉痛”が特徴で、”リウマチ性”との名前がついていますが、 関節リウマチとは異なる疾患です。適切なタイミングでステロイドを投与することにより治せる病気です。



2. 症状

全身の炎症を反映して、発熱、倦怠感、体重減少などの症状があらわれます。典型的な場合には、左右対称の筋肉痛が、ある日急に起こります。筋肉痛の部位は、 肩から上腕、腰から太ももなど身体に近い部分(近位)で、バンザイなど手を上げる、椅子から立ち上がる、寝返りをうつなどの際に痛みを感じることが多いのが特徴です。肩や膝など大きな関節の痛みもよくみられます。



3. 診断

リウマチ性多発筋痛症は、前述した通り高齢者に突然発症する対称性かつ近位部の筋肉痛に加えて、採血で炎症反応を認めることで診断します。典型例で本疾患を疑うことは比較的容易ですが、これがあれば診断が決まるという検査所見はありません。感染症や悪性腫瘍(がん)でも似たような症状を来すことがあることから、他の疾患ではないことを確認するまで、リウマチ性多発筋痛症とは診断できません。細菌検査や隠れたがんの検索などを行い、慎重に診断する必要があります。



4. 治療

リウマチ性多発筋痛症では、少量のステロイドをのむと、数日以内、早い人では 朝に内服すると夕方には筋肉痛が劇的に改善し、2 週間程で消失します。この病気のせいで全身の痛みが強くなり、寝返りもできずベッドから起き上がることもできなかった患者さんが、数日以内に元通り歩き出す方もいらっしゃるほどです。 2 年程でステロイドは中止できることが多いのですが、再燃も多いのが特徴です。 しかし、本疾患に関しては再燃しても問題は痛みのみであり、再燃したらまた治療し再度内服を減らす方針が考えられます。高齢者におこる疾患ですので、ステロイド投与にあたっては感染症、骨粗鬆症、生活習慣病の悪化などに注意が必要です。


 

北陸リウマチ膠原病支援ネットワーク パンフレット 第3版より引用

執筆協力者(順不同) 加藤真一(上荒屋クリニック)、長谷川稔(福井大学)、梅原久範(長浜病院)、

清水正樹、山田和徳、 鈴木康倫、藤井博、川野充弘(以上金沢大学)

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